官製談合…。という言葉が最もフューチャーされたのは三年くらい前か? 月刊「選択」は「サンクチュアリ」という特集のコーナーを設けており、そこを何度か僕も担当した。結構ヤバい分野を扱い、なおかつ切り込んでいくのでなまじっかな書き手では読者の期待を裏切ってしまう。そんなコーナーだ。
で、官製談合を取り扱った時の話。愛知県のSという会社も登場した。また胡散臭い話には必ずといっていい程登場するS氏の存在についても言及しておいた。S氏は、普通にコワモテで、取材に対しても普通に恫喝してくる。某組織の準構成員との噂も入ってきていた。その組織もイケイケで関わったら「ウルサイ」(いわゆる怖い、の意味で暴力業界では使う人もいる)事でも知られている。
かなり慎重に書いて貰ったが果たして、掲載後早速抗議の電話が会社に来た。電話を受けたのは誰だったのだろうか。とにかく担当の僕が対応する事になった。その頃くらいから、抗議は次長の僕が担当するという暗黙の了解みたいなものが会社内の空気として出来つつあり、また周囲を見渡してもそういった面倒事や荒っぽい事に対応出来る人も確かにいなかったので不本意ながら僕がその役回りをする羽目になっていた。
とは言っても心得として上司であるE編集長、Y生オーナーまで行かせない。僕で止める。またはまとめると思っていたので業務命令くらいに感じていたし、実際Y生オーナーからは「君がクレーム処理をしてくれ」と言われた覚えもある。
とにかくSの抗議の「使者」がすぐに上京してくると言う。
電話越しで「来て頂くには及ばない」、と言ったと思うが使者は強引に約束を僕に取り付けた。予想として不良みたいな人が来るのかなと、うんざりしたが新橋のホテルのラウンジで会ってみるとそれほどいかつくなくてホッとする。
ただ、そのアポイントの取り方の強引さから
社長「おい、こんな記事が載っているぞ。見過ごせないな」
使者「それなら私が行って黙らせてきます」(あくまで想像です)
のノリで来たのかなと感じた。また、ヤカラみたいに大人数で来るのではなく1人で来た事に関してちょっとだけ僕は使者に同情にも似た感情を抱いてしまった事も否めない。でも、こちらとしても頭を下げる訳には行かず、押し問答になってしまった。
そこで使者は段々、焦り出したのか自分のボスがいかに凄い人脈を持っているか話し始めた。確かに凄い人脈だ。でも裏社会の話ですよね、それって。
何が言いたいんです?
僕にカマしているんですか?逆効果になりますよ。
と内心思いつつ、またそれによって益々僕の態度も表情も硬化していったと思う。
一向に歩み寄りを見せない僕に対して、使者はシビレてきたのかその場でボスに電話をした。今度は懐柔策で、「一度ウチのボスと話せばわかります」と言ったと思う。僕は「電話をかけるのは自由ですが話すつもりはありませんよ。話して何か解決するんでしょうか」とだけ言っておいた。
でも使者はとにかく話してみてくれと言う。電話がつながった。使者はボスに現在の状況を説明している。電話口からボスらしき人の声も聞こえてきた。ということはなり、大声を出していたのか。
使者はやがて困った顔で携帯電話を僕に差し出した。僕は丁重に「お話する事はありません」「お話する気持ちもありません」と使者に向かって話した。多分、使者から見たら慇懃無礼という奴に写ったのではあるまいか。
それと「先ほどあなたがおっしゃったような、凄い人たちとの交流を持っている方なら僕が緊張してしまって話にならないといと思いますよ」とも付け加えておいた。
根負けした使者は電話を切り、どうしても謝罪できないのかと問うてきた。答えは先ほどと同じです、と僕。おふざけで答えているのではない。僕は緊張もしていたので尚更、真剣勝負である。
使者との話し合いは決裂した。使者は一晩東京に宿泊して帰って行った。記憶が確かではないが、もう一回会ったかも知れない。
後に、世間を、いや政界を震撼させる水谷事件の序章だったんだな、と今改めて思う。
(文=編集部•久田将義)
で、官製談合を取り扱った時の話。愛知県のSという会社も登場した。また胡散臭い話には必ずといっていい程登場するS氏の存在についても言及しておいた。S氏は、普通にコワモテで、取材に対しても普通に恫喝してくる。某組織の準構成員との噂も入ってきていた。その組織もイケイケで関わったら「ウルサイ」(いわゆる怖い、の意味で暴力業界では使う人もいる)事でも知られている。
かなり慎重に書いて貰ったが果たして、掲載後早速抗議の電話が会社に来た。電話を受けたのは誰だったのだろうか。とにかく担当の僕が対応する事になった。その頃くらいから、抗議は次長の僕が担当するという暗黙の了解みたいなものが会社内の空気として出来つつあり、また周囲を見渡してもそういった面倒事や荒っぽい事に対応出来る人も確かにいなかったので不本意ながら僕がその役回りをする羽目になっていた。
とは言っても心得として上司であるE編集長、Y生オーナーまで行かせない。僕で止める。またはまとめると思っていたので業務命令くらいに感じていたし、実際Y生オーナーからは「君がクレーム処理をしてくれ」と言われた覚えもある。
とにかくSの抗議の「使者」がすぐに上京してくると言う。
電話越しで「来て頂くには及ばない」、と言ったと思うが使者は強引に約束を僕に取り付けた。予想として不良みたいな人が来るのかなと、うんざりしたが新橋のホテルのラウンジで会ってみるとそれほどいかつくなくてホッとする。
ただ、そのアポイントの取り方の強引さから
社長「おい、こんな記事が載っているぞ。見過ごせないな」
使者「それなら私が行って黙らせてきます」(あくまで想像です)
のノリで来たのかなと感じた。また、ヤカラみたいに大人数で来るのではなく1人で来た事に関してちょっとだけ僕は使者に同情にも似た感情を抱いてしまった事も否めない。でも、こちらとしても頭を下げる訳には行かず、押し問答になってしまった。
そこで使者は段々、焦り出したのか自分のボスがいかに凄い人脈を持っているか話し始めた。確かに凄い人脈だ。でも裏社会の話ですよね、それって。
何が言いたいんです?
僕にカマしているんですか?逆効果になりますよ。
と内心思いつつ、またそれによって益々僕の態度も表情も硬化していったと思う。
一向に歩み寄りを見せない僕に対して、使者はシビレてきたのかその場でボスに電話をした。今度は懐柔策で、「一度ウチのボスと話せばわかります」と言ったと思う。僕は「電話をかけるのは自由ですが話すつもりはありませんよ。話して何か解決するんでしょうか」とだけ言っておいた。
でも使者はとにかく話してみてくれと言う。電話がつながった。使者はボスに現在の状況を説明している。電話口からボスらしき人の声も聞こえてきた。ということはなり、大声を出していたのか。
使者はやがて困った顔で携帯電話を僕に差し出した。僕は丁重に「お話する事はありません」「お話する気持ちもありません」と使者に向かって話した。多分、使者から見たら慇懃無礼という奴に写ったのではあるまいか。
それと「先ほどあなたがおっしゃったような、凄い人たちとの交流を持っている方なら僕が緊張してしまって話にならないといと思いますよ」とも付け加えておいた。
根負けした使者は電話を切り、どうしても謝罪できないのかと問うてきた。答えは先ほどと同じです、と僕。おふざけで答えているのではない。僕は緊張もしていたので尚更、真剣勝負である。
使者との話し合いは決裂した。使者は一晩東京に宿泊して帰って行った。記憶が確かではないが、もう一回会ったかも知れない。
後に、世間を、いや政界を震撼させる水谷事件の序章だったんだな、と今改めて思う。
(文=編集部•久田将義)



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